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熱伝達および熱伝導製品
~ 必要な理由、量を増やしても効果が上がらない理由 ~

デーヴィッド・フォースター

CPU上でタマゴを調理している写真をごらんになったことがあるでしょうか。好奇心の強い方なら、この実験から新しい冷却製品に関するアイディアを得られないかと考えるかもしれません。 もっとも、やれやれ、CPUが熱いのは当たり前さと思う方が多数でしょうか。 (そうかもしれません。 あなたは、やれやれとは思わないかもしれません。 何か、感嘆詞を口にしたのは間違いないと思いますが。) 次に、うなずいて、適切な冷却について考えたのではないでしょうか。 そちらの方がずっと重要です。

3匹の熊の原理
おとぎ話風に言えば、熱伝導化合物またはペーストに関する標語は: 「多すぎても少なすぎてもだめ」となります。 常に適量を使用しましょう。

さてその次は? グレードAのサイズでは、手持ちのCPUを動作させるのに最適でない場合(私の言葉を信じてもらえるなら、実際そうではありません)、どうすればよいでしょう?

正直なところ、その疑問に答えることはできません。

選択肢が多すぎますし、どの程度のノイズなら我慢できるか、どの程度の費用を出せるか、などといった問題は非常に個人的なものであり、すべての人の要件を満たすお勧めなどないからです。

その代わりに、次の2つの目的をふまえて、熱伝達という問題の一部に取り組みたいと思います。 1) 読者がより多くの情報に基づいて意志決定できるように支援すること、2) すでに読者が購入する製品を決めている場合であっても、しばしば見られる誤りを犯さないよう、読者を支援すること(このエラーでCPUが壊れたら、1回のエラーでも多すぎます)。

熱 - 好ましくないもの ここから追い出してしまおう…

基本的なアイディアは、もちろん、CPUコアから外へ熱を伝達することにあります。 問題を単純化するため、コアは、全体として同じ温度で動作するものと仮定します。 したがって、議論の対象は、チップ上で唯一アクセス可能な場所であるダイの表面から熱を伝達することになります。

問題をさらに明確にすると、熱の伝達には、次の3つのメカニズムを利用することができます: 放射、対流、伝導。 問題が複雑になるのを避けるために、次のことを覚えておいてください: 放射と対流はCPUコアの敵です、または少なくとも役に立ちません。 一方、伝導は味方です。

その理由は次のとおりです(とばしていただいても結構です):

放射とは、電磁スペクトルの放出による直接的な熱損失であり、言い換えると、熱を持つすべての物体が熱を発します。 人体は赤外線を放射していますが、CPUコアを保護せずにいると、ストーブトップバーナーのような光波長を発するようになります。最初は赤、次第に黄色から白に変化し、溶けてメルトンの小滴になってしまいます。その速度は、古い80286チップほど速くはありません。

対流とは、8月のテキサスでアスファルト舗装の上に見られるものです。オーブンのように空気が舗装表面の熱を奪う際に、蜃気楼のような波打つ線が見られます。 不幸なことに、コンピュータケース内の空気が奪う熱は、CPUダイトップで発生する熱よりもはるかに少ないため、短時間のうちに上で説明したようなメルトンシナリオが実現します。

伝導とは、システムのある部分から別の部分へ、分子運動(分子の衝突)によって熱が移動する現象です。CPUの例で言えば、お互いに接しており、片方がもう一方を暖めることにより、ダイトップからヒートシンクへと熱が移動します。 これは、バーナー上の古いフライパンシンドロームです。バーナーの上の鋳鉄製のフライパンが赤い光を発するようになるまでは、バーナーが赤い光を発することはありません。 (ヒートシンクはCPUコアよりもはるかに大きく、重いため、CPUと同程度に加熱されるまでに、大量の熱を奪うことができます。)

ヒートシンクがCPUと接触しているため、冷却に役立つという理屈がわかりましたので(わからないふりをしないでください)、次の点に進みます。 ダイトップとヒートシンク底面の境界における熱伝達の向上について考えましょう。

境界で

この点について考える場合、潜在的な問題点があります。 ヒートシンクの底面およびダイの表面が鏡のように平坦でない限り、または鏡面仕上げ以上に平坦でない限り、ヒートシンクとダイトップの接触面は最適な面積よりも小さくなります。

ヒートシンクの底面を十分に拡大してみれば、平坦な金属の表面とはとてもいえないことがわかります。 むしろ、その表面は凹凸だらけで、出っ張りの頂上の部分のみがCPUの表面に接しています。 へこんだ部分はダイトップから離れており、その隙間はよどんだ空気で満たされています。

熱伝導パッドでやってはいけないこと
  • パッドを絶対に再使用しないこと 絶対にだめです。
  • 熱伝導化合物と熱伝導パッドを併用しないこと
  • パッドを不適切な位置に置いたり、パットがずれないようにすること
  • プラスチック製のラップを忘れずに取り除くこと(もしあれば)
  • パッドの表面に触れたり、傷つけたりしないこと


よどんだ空気の原理がなければ、これはそれほど悪いことではないかもしれません。 つまり、空気は非常に効果的な絶縁体なのです。 ファイバーグラスによる絶縁、フォームによる絶縁、さらには、ずたずたに引き裂いた新聞紙による絶縁もこれと同じ原理に基づいています。 家の壁が絶縁されていない場合、壁の中の空気が移動して、表面のある部分から別の部分へと熱を移動(対流)させます。 絶縁体によって空気を閉じこめると、壁の熱伝導特性が大幅に低下します。

しかし、CPUとヒートシンクの間に半絶縁層ができるのは、望ましくないことです。 伝導性の向上 したがって、できる限り空気が入らないようにする必要があります。 伝導は物質が接触した部分で生じるため、接触面の総面積が増えるのは望ましいことです。

熱伝導パッドおよび熱伝導化合物の取り付け

熱伝導パッドおよび熱伝導化合物は、可能な限り空気を追い出すことにより、CPUダイトップとヒートシンクが全面で接触する役割を持っています。 これにより、いずれも、熱を持って欲しくない部分から、熱を持って欲しい部分へと熱が伝導しやすくなります。 ここで、ある興味深い特徴を考慮に入れる必要があります。パッドも化合物も、むき出しの金属同士よりは伝導性が劣るため、若干の絶縁性を持つとみなすことができます。 空気の層と比較するとはるかに絶縁性は低いのですが、この事実を忘れていると、問題が発生する可能性があります。

この事実によって、熱伝導化合物に関する3匹の熊の原理が導かれます: 常に適量を使用しましょう。 少なすぎると空気を完全には追い出せず、全面での接触が実現しません。 多すぎると、金属同士の接触が阻害されます。 いずれの場合も、適量を使用した場合よりも有効性が低下します。

熱伝導化合物は、何らかの方法で熱を消滅させる魔法の万能薬ではありません。

どのくらいが適量か? 購入した製品に付属の説明書を読んで、その指示に従ってください。一般的には、堅くて平らな物体のエッジを使用して、問題の物体の表面に薄い層状に広げます。接する部分のみに広げると効果的です。これは、良質な化合物は、圧力が加わると表面全体に広がるためです。 ただし、ダイコアの側面からすべてはみ出してしまうほど強く押さないことと、CPUチップのコア以外のコンポーネントに付着しないようにすることが非常に重要です。 大量の化合物が望ましくない絶縁性を持つだけではなく、一部の化合物は導電性があるため、コンポーネントがショートする危険性もあります。

さて、注意深い読者は、熱伝導パッドはどうなったのかと疑問に思っていることでしょう。 熱伝導化合物の長所が、金属同士がすでに接触している部分から移動する点にあるとすれば、導電性パッドには問題があるのでしょうか?

オーバークロックを行った場合や、その他の理由により高温または異常な状態になっているのでない限り、問題はないでしょう。 ほとんどの熱伝導パッドは、最初の加熱時に圧力を受けた箇所からある程度移動します。これは望ましい性質であり、ほとんどの標準的な用途で使用する場合は、十分な熱伝導性を発揮します。

熱伝導パッドには、化合物よりも魅力的な特徴がいくつかあります。 使いやすく、手早くきれいに仕上がります。 一方、それを短所と呼ぶならば、1回限りの解決策でもあります。 ヒートシンクを取り付け位置から移動する場合、熱伝導パッドを交換しなくてはなりません。熱伝導パッドは、動作中のCPUの熱により、ダイトップの形状に合わせて変形するためです。 CPUを交換するためであれ、単に見て楽しむためであれ、ヒートシンクを移動した後に熱伝導パッドを再使用しようとすれば、CPUとヒートシンクの表面の間にエアギャップが生じます。 ヒートシンクを取り外す場合は、熱伝導パッドを交換しましょう。

また、化合物の場合と同じく、量が多ければよいと言うわけではありません。 CPUとヒートシンクの間に2枚または3枚のパッドを重ねると、かなりの確率でCPUが壊れることになるでしょう。

熱伝導化合物および熱伝導パッドを併用する場合も同様の可能性があります。両者を併用しないでください。 (冒頭で述べたしばしば見られる誤りとは、このことです。) 熱伝導化合物は、何らかの方法で熱を消滅させる魔法の万能薬ではありません。おもしろ半分に付け足したりしないでください。 これまでの説明を理解していれば、その理由はお分かりのはずですが、はっきりさせておきましょう。 熱伝導パッドの上に熱伝導化合物を追加すると、熱をヒートシンクに伝える性能が低下します。 接触面が2つになることで不要な熱抵抗が増加し、本来望ましい金属同士の接触はほぼ確実になくなります。

結論…

その通り。 タマゴは使えません(サイズやグレードにかかわらず)、 適量の熱伝導化合物(使用する場合)、 熱伝導パッドを使用する場合は、1枚だけ使用し、必要に応じて交換します(再使用しないでください)。
もっと続けてもよいのですが、読者の皆さんもそう考えているかは疑問です。

ここまでで説明した知識を正しく、有効に活用してください。 楽しいコンピューティングを。

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